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米国の疲弊は侵略戦争のせい

我々は米国によるイラク戦争、アフガン戦争に反対した。
両戦争は、とりわけ前ブッシュ政権の「力の政策(信仰)」として実行されたもので、日本にも「ショー・ザ・フラッグ」「ブーツ・オン・ザ・グラウンド」というスローガンが投げられたことは記憶に新しい。

前ブッシュ政権は、米国の「自由」と「民主主義」を世界に広げるという理念を殊更に教条的に強調したもので、その主体はネオコンと呼ばれるポール・ウォルフォウィッツ元国防副長官、ジョン・ボルトン元国務次官補ら強硬派が主導した。

ラムズフェルド元国防長官は、米軍の近代化や変革を提唱し、イラク戦争やアフガン戦争はそのトライアルの舞台でもあった。
米軍は、わずか1ヶ月強でイラク全土に侵攻し占領を果たすなど、その近代化の威力は世界に見せ付けられたが、侵略戦争である本戦争は、国際社会から批判された。

米空母上で大規模戦闘終結を宣言するブッシュ前大統領は得意満面であったが、その後イラクではゲリラ戦が始まる。
アフガンが一進一退を続けている状況での二面作戦に打って出たのは、ブッシュ前政権である。
我々は、ソ連によるアフガン侵攻やベトナム戦争をひいて、上手く行かないと主張した。
その最大のレジスタンス戦略とは、侵攻者の補給線を狙うというものだった。
事実そうなっているが、10年を経て遠征軍を維持すると兵站だけで巨額の費用が必要となり、その負担は侵攻国の税金である。

対し被侵攻国は、長期間抵抗を続ければよい。
米国はベトナム戦争で、旧ソ連はアフガン侵攻で同じ結末を迎えた。
近代化された戦争では、ラムズフェルドの理論によれば、一瞬で終わるという算であったが、まったくそうならなかった。
抵抗はずっと続き、帝国は戦争に疲弊していく。
だがそれはかつてのベトナム戦争の再来でしかない。

大変に恐縮であるがトランプ氏がなにを云おうと、本件に関する原因は米国にあるのであって、米国はまず自らが起こしたイラク・アフガン戦争を収束させる責任がある。
上手く行かないことをもって、日韓や欧州に云われてもお門違いだ。
無人機による攻撃とかロボットとか出てくるが、何の解決にもならない。
中東は、サウジやイランといった大国の協力なくして、問題解決は難しい。
文化も違うし、民族のプライドも高く、宗教も異なる。

まず本件問題の核心が「遠征軍」と「抵抗」にあるなら、中東は中東問題として解決を導くしかない。
南アにもあるし、北東アジアにもある。
一時、アセアン+3ができそうになったとき、なぜ我が国がオブザーバーでメモを取らねばならないのかといって散々悪態をついたのは誰か。
日本ではいま殊更に中国の戦力が喧伝されるが、戦力を云うなら日本に最も国境が近いロシアの方が圧倒的に高いのだが、云わない。
我々は、日露平和条約をずっと云っている。(日中には日中平和条約がある。)

EUとロシアが融和し、日韓を含む東アジアが融和を始めたとき、起きたのがアフガン戦争でありイラク戦争(悪の枢軸)だった。
したがってアフガン戦争、イラク戦争の帰結として、向かう方向に注意しなければならない。
米国の力を見せ付ける目的でなされた両戦争は詰まるところベトナム戦争の再来となっている。
このことの反省なくして、米国に新しい戦略も政策も生まれない。
如何なる大統領(例えばトランプ氏であっても)が登壇しても結果は同じだ。

戦争を始めるのは簡単だが、統治は難しい。
統治にはそれぞれ歴史や文化、宗教、民族問題が深く絡む。
爆撃機は問題を解決しない。
つまり何も解決されない。
重要なことは、問題の解決には何が必要か考えることだ。

ほかにない。






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